1987年10月6日 右代宮蔵臼の日記
昨日までの嵐が嘘のように晴天。
弟、妹たちは帰途に着いた。
幸運だったのは、譲治くんと紗音が婚約を発表したことで、
一番頭の切れる絵羽が父のことよりも、そちらに意識を向けたことが上げられる。
源次さんと熊沢さんの協力も大きい。
2人は、紗音の母親が亡くなる前に福音の家に寄付したお金から、持参金を出せること、
紗音を娘のように想い、どこに出しても恥ずかしくないように育てたこと、
そして何より譲治くんと紗音の想いの強さを伝えて、
留弗夫、霧江さんに楼座を巻き込んで、あの絵羽を説得するとは
だが、時間がない。
この屋敷の権利がどこにあるのかも、父のことも、全てはやがて明るみに出るだろう。
どうしたら、この家を、夏妃を、朱志香を守れる?
私にできることは、全てしよう。
だから、どうか、右代宮家の者を守るすべを、私に
「その願いを、叶えよう」
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