4 六軒島爆破事件の真相


「これは、なかなか・・・」
「ね?あんた好みのフコーなカケラでしょー?」




1986年10月4日、未明から突如熱を出した戦人は、
前日から体調の悪かった妹同様に、親族会議を欠席することとなった。


当然のように、次男夫婦も帰って来て、縁寿は孤独にならなかった。
戦人は自分の罪に気が付かなかった。
紗音は「ベアトリーチェ(戦人への恋心)」を忘れ、「右代宮理御(当主としての権利」を完全に放棄し、右代宮譲治と婚約した。


しかし、1987年を迎える前、唐突に、当たり前のように享受していた生活は終わりを迎えた。


六軒島の右代宮邸の差し押さえ、
右代宮蔵臼と夏妃の離婚。
それに伴い、右代宮金蔵の死が発覚する。


長女、次男、次女は、長男を問いつめるが、
彼はただ、頭を下げ「私が全てを隠していた。他の者は何も知らない」としか言わない。


六軒島は売られ、九羽鳥庵が見つかるが、週刊誌が少し騒いだくらいで、やがて忘れ去られた。


なんせ、次男夫妻の会社が米国の会社に敗訴し、莫大な損害賠償が求められたことが明るみに出て、
次女の会社も、連帯保証人としての1億円が払えない上に、新作が全くヒットしないという大赤字を重ねて、倒産してしまったのだから。


かろうじて無事だったのは、紗音が持参金として納めた2億円を元手に立ち直った次女一家のみ。
だが、その元手となった2億円は、どこから来たのかと週刊誌をはじめとする記者たちから追及を受け、譲治にまで問われた紗代は、口を閉ざして、死を選ぶ。
同時に、右代宮の経営するレストランに対する誹謗中傷が行われ、結果として、廃業に追い込まれることとなる。


こうして、六軒島は爆発こそなかったものの、
完全に崩壊した右代宮グループと不幸になった右代宮一家が残りました。





「このカケラで、どうしろと?」


魔女のお茶室で、少年は目を閉じ、問いかける。


「面白くしなさいよ。
あんたがむかーし言ってたみたいな、ハッピーエンドをつくるの!」


少女が、両手を突き上げ、にやりと笑うと、
どどーん!と大きな音が鳴り、光がきらめいた。


光が収まると、
少年は、長身で金蔵の若い頃によく似ていると言われる姿をして、
懐かしい、八重歯を見せた笑顔を浮かべていた。


1986年10月6日以降の六軒島および右代宮家親族のあるところ。
全員が無事に帰って来た筈のカケラで、起きる惨劇を未然に防げ