問題は、以下の5つ。
1. 死体なき死者右代宮金蔵を、誰の罪も問わない方法で、殺せ
2.右代宮四兄妹の財政問題を解決せよ
3. 蔵臼、夏妃夫妻に右代宮金蔵が死んだのは、1986年10月6日以降と認識させよ
4. 「右代宮理御」を奪え
5. そして、誰一人欠けることなく、縁寿に幸福な18までの誕生日を迎えさせる
・・・ベアトリーチェは、紗音が「殺した」。
嘉哉の愛に関与できる程、彼を知らない。
紗代は、譲治と幸せになればいい。
我が名は、十八。箱守十八。
海の底で、永遠に猫箱を守る無限の魔術師にして、
無能な右代宮戦人のコマを用いて、
表と裏を描き、このカケラに幸福を上書きする造物主。
さぁさ、思い出してごらんなさい「右代宮戦人」
そなたが、祖父右代宮金蔵をどれだけ慕っていたのか、
どれほどまでに彼に似て、彼の信頼を得ていたのか。
『お館様の若き日に、少し似てこられましたな』
『お館様の若き頃にそっくりだ』
協力者を選定、呂ノ上源次。
世界を、変更。
「右代宮戦人は、家を出ても、祖父と交流があった」。
それは、たった一度。
1984年、掲げられた碑文を見た4歳の縁寿が、戦人に内容を伝え、
ミステリー好きの彼は、「碑文の答え、挨拶なしに家から去ったこと、そして二度と戻らぬことへの謝罪」を金蔵宛に送る。
碑文の謎を解いた者を「ベアトリーチェ」であると信じる金蔵は、
ベアトリーチェへの謝罪と、一目だけでも会いたいという言葉を伝える。
17年前に崖から落ちたという傷もなければ、
父親が留弗夫であることにだけは疑いを抱けない戦人は、
「俺が魔法でじいさまをベアトリーチェばあさまに会わせてやるよ」
と軽口を叩き、励ます手紙を書く。
二人は、古き友人のように、言葉を交わす。
金蔵は、妻がいながら愛した女性のことを
戦人は、恋愛なんて一生しないだろうということを
絶対に会わないと知っているから、誰にも言わない想いを伝え合った。
それは戦人が出した10月10日から、
紗代が碑文の謎を解いてから、源次と熊沢と金蔵の部屋を訪れるその間に書いた金蔵の手紙を最後に11月29日まで続く僅か数回の往復書簡。
「私は、ベアトリーチェに再会する。
おまえの魔法は本物だ。戦人。
家に戻らずともよい。
どうか、我が娘、理御を、そしてこの右代宮家を見守ってくれ」
感謝のこもった手紙に添えられたのは、10億円のクレジットカード。
「理御に全てを譲る。戦人に全てを託す」
手紙を出したのは、呂ノ上源次。
・・・ちょっと無理がある気もするが、ありえねぇカケラじゃねえだろ。
第5のゲームで、金蔵は戦人が後を継ぐことを肯定していた。
第8のゲームでは、黄金を貸与したベアトリーチェの孫と次期当主蔵臼に大事な話をする際、立ち会うことを許した。
このカケラの「右代宮戦人」は、全てを知りながら、もう二度と右代宮の名を名乗らないと誓った高校生。
両親と妹しかその姿を知らない、実母譲りの髪の色と若き日の祖父に瓜二つの青年だ。
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