いつか に会えたなら。
私、右代宮 リーチェは今年16になった。
右代宮と名乗ってはいるけれど、一族としては認められていない。
父の戦人は、去年から入院していて、医者が云うにはあと幾ばくの命らしい。
今は祖父母の家でお世話になっているが、あまり居心地はよくない。
父が家を出てからは、連絡を取ることもさほどなく、ほとんど初めて会ったかのように、よそよそしく感じられるからだ。
ただ、叔母に当たる縁寿さんはよく家に遊びに来ていたから、友達のように仲は良い。
どちらにしても、父のいとこの麻里亞さんが、父の死後は後見人になるというから、それまでの辛抱だろう。
麻里亞さんは父の良き理解者で、私のこともすごくかわいがってくれる人だ。
私が母がいなくても気にしたことがなかったのは、家によく麻里亞さんが遊びに来ていたからだろう。
日に日に弱っていく父は、けれど、穏やかに笑って過ごしている。
父の死に顔は、きっと満足そうな顔だろうと、私も麻里亞さんも思っている。
でも優しいから、ただ一言「ごめんな」と言うかもしれないけれど。
私の母は六軒島の魔女、ベアトリーチェらしいが、この人を殺したのは父だと麻里亞さんから聞いたことがある。
でも、大伯母たちから聞かされた話では、私は父と血のつながりのない子供なのだそうだ。(DNA鑑定をしたらしい)
だから一族としては認められていない。
でも、父から与えられた愛は本物だし、麻里亞さんは、私が父とベアトリーチェの子であると信じている。
だから私も、「右代宮戦人とベアトリーチェの子供だ」と胸を張って言えるのだ。
きっと嘘でも、それが真実。